「旅のラゴス」筒井康隆|旅する男の人生を描く

 

読んだ後、心の中に風が吹く。

 

抽象的ですが、そんな読後感に浸れる本を紹介します。

 

その本の名は「旅のラゴス」。題名通り、旅する男の物語です。

 

こんな方に読んでほしい!


・旅することが好きな人

・「筒井康隆」に挑戦したい人

・学ぶこと、人生の意味を考えている人

・やる気が欲しい人

 

あらすじ・内容紹介

舞台は、高度な文明を失った代償に、人々が集団転移やテレパシーなどの超能力を手に入れた世界。

そんな世界で旅を続ける主人公のラゴス。

旅の中で、牧畜民族のムルダム一族と出会い、寝食を共にする中で生涯忘れられない女性に出会います。

他にも、自分の理想の顔を描く男、壁を抜けられる男、巨大な鳥や龍と恐れられる蛇が存在する町、銀鉱での奴隷生活などを経て、ラゴスは祖先が残した宇宙船の残骸へと辿り着きます。

その後、祖先の英知を記した書物と出会い、一国の王にまで上り詰めます。学を修めるという本懐を遂げつつも、彼は旅を続けることを決めます。

ある時は奴隷、またある時は国王、波乱万丈な人生を送る中でも旅することをやめないラゴス。

彼はなぜ、旅を続けるのか?

彼の旅の終着点に待つものとは?

 

「旅のラゴス」の感想

説明少、けれども圧倒的世界観

本作の特徴はズバリ、説明の少なさ。

いきなり、主人公がワープ(作中では集団転移)したり、当然のように動物の心を読み取ったりします。作中の世界観に関する説明が異常に少ないです。

しかし、説明が少ないからこその奥行を感じ、私はどんどん物語に引き込まれました。

物語の後半、ラゴスは夢に現れる愛しき女性デーデに会うために、北へと旅に出ます。

行きついた先は誰もいない雪降る暗い森。

絶望的な状況でも、なぜか私はラゴスとデーデは会うことができると確信していました。

それは、作中の「世界」では、夢に出るくらいの強い思いは2人を繋ぐと思わせる世界観のおかげだと思います。

夢に見たら会えるなどという説明は一切ありません。

しかし、だからこそ説明がないという物語の「余白」が読者に期待をさせていることに気が付きました。

 

クライマックスに感じる爽快感

本作を読み終え本を閉じた後、私は思わずフーと息を吐き、頑張ろうと呟きました。

作者の筒井康隆先生に応援されているような気がしたからです。

少しネタバレになってしまいますが、物語の最後は非常に中途半端な場面で終わります。

これはまるで、筒井先生に「ラゴスの旅を見せられるのはここまで。次は君の物語の番だ!」と言われているような気がしました。

少し大袈裟かもしれませんが(笑)。

しかし、私にとって「旅のラゴス」はそれくらい強いエネルギーを持つ作品でした。

 

ドネルの正体の考察

最後の章「氷の女王」で登場する森番の老人ドネルの正体が気になった方も多いと思います。

ラゴスは彼とどこかで会った気がすると感じていますが、作中には明確な答えが描写されていません。

私はドネルが第5章「たまご道」に登場するタリアの息子なのではないかと思っています。

理由は以下の4点。

 

・ドネルはラゴスに対し「マテ茶」を振る舞う

・タリアも同様にラゴスに「マテ茶」を出す

→タリアとドネルは出身地が同じ可能性

 

・ドネルは過去に悪事を働いていた

・タリアの息子は盗賊団の頭首だった

→過去に悪事を行っていたことが一致

 

・ラゴスは盗賊団に一度襲われている

→互いに見覚えがあった理由

 

・ラゴスとドネルを同じ年齢と推測

・タリアの息子もラゴスと同じぐらいの年齢

→ドネルとタリアの息子も同じぐらいの年齢

 

しかし、ラゴスと同様にドネルもあちこち旅をしたと語っていることから、作中以外の場所で出会っている別の人物の可能性も大いにあります。

明確な答えを示さない「旅のラゴス」らしい演出だと思います。

 

さいごに

今回の記事は私が初めて書いたものになります。

その記念すべき初投稿に私はこの「旅のラゴス」を選びました。

この作品は決して万人受けする作品ではないと思います。

しかしながら、この物語が持つ静かでも確かなエネルギーが、私の中で最初に書こうという思いに変換されました。

そのため、情熱に任せた文章になった部分も多いと思います。

ですが、1人でもこの作品の良さが届けば良いなと思っていることは確かです。

このブログを通して、「旅のラゴス」を手に取っていただけると嬉しいです。

以上、また次回!

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