又吉直樹「劇場」:あらすじ・感想!ラストの解釈と永田のモデルも!




こんにちは、hideと申します!

今回は小説「劇場」を紹介したいと思います。

作者はお笑い芸人の又吉直樹さん、作者初の恋愛小説です。

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又吉さんは小説「火花」で芥川賞を受賞していますね

  

ブログの前半部分では、「劇場」をこれから読んでみたい人に向けて

本作のあらすじと魅力の解説

 

後半部分では、「劇場」を読んだ方に向けて

  • 「劇場」の感想と考察
  • 映画版「劇場」との違い
  • 主人公のモデル

についてをご紹介したいと思います!

 

「劇場」をつまらないと感じた方も、このブログを通して、本作の魅力が伝わって頂ければ嬉しいです!

小説「劇場」のあらすじ

主人公は売れない劇作家の永田。

上京して立ち上げた劇団は酷評の嵐。
仕事も無く、ただ毎日を死んだように消費して生きていました。

そんな彼はある日、明るい顔をした1人の女性に声をかけます。

彼女の名前は沙希。
女優を目指し、青森から上京した大学生でした。

互いに惹かれ合う2人。
永田は沙希の家に転がり込み、同棲を始めます。

しかし、時が経つに連れて、夢を捨て現実的に働く沙希。
対照的に、執拗に演劇での成功に固執する永田。

何気ない日々を通して、夢を見る若者の現実と挫折を繊細な文章で描いた青春ラブストーリーです。

小説「劇場」の登場人物

・永田
本作の主人公。
高校卒業後、上京して劇団を立ち上げます。
評価されない現実に肥大化したプライドを抱えた危うい青年。

・沙希
青森から上京した大学生。
永田の才能を信じ、圧倒的な優しさで彼を支えます。

小説「劇場」の見どころ(ネタバレなし)

当てはまったら、クリーンヒット間違いなし

  • 夢を追いかけた事がある人
  • フラフラしてた時期がある人
  • ↑のどちらかに当てはまる恋人がいた人

この3つのどれか1つでも思い当たる方は、ぜひ本作を読んでみてください。

 

この物語は、夢を追う青年とその夢を支えようとする女性の物語。

最初は楽しいですが、好きなことだけをやって生きていていけるほど人生は甘くない。

才能、お金、将来、年齢などさまざまな壁が2人を待っています。

 

その時のどうしようもない痛みが見事に表現されており、
分かる人にはつらいほど刺さる作品になっていると思います。

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逆にそうでない人は冷静に見れてしまうかも

映画「劇場」より丁寧な描写

映画は見た!という方にもオススメです。
こちらは文章である分、心理描写がよりリアルに描かれています。

特に、永田が感じる焦りや不安、傲慢なプライドなどが突き刺さるような文章で綴られています。

映画版の「劇場」を見たけどつまらなかったという方も小説を読んだら面白い感じるかもしれません。

  

以下、小説「劇場」の感想と考察です。
多少のネタバレを含みますので注意してください!

小説「劇場」の感想・考察

リアルな恋愛描写

本作を読んでいて、これあるよなーと思う場面が何度もありました。

例えば、猿のお面。

正直第三者である私達読者から見れば、沙希がなぜあんなに笑うのか?何が面白いのか?全く分かりません。

  

でも、そういうこと無いですか??

  

いわゆる、二人だけの内輪ネタ
多くの時間を共に過ごした2人だけに通じる共通認識みたいなノリってありますよね。

しかも、それが物語の後半になるに連れて悲しい意味合いも帯びてくるのもまたリアル。

そういった「あるある」が思い当たる方は、感情移入がしやすかったのではないでしょうか。

ちなみに私の場合、共通の知人のモノマネがそれでした。懐かしい。

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猿のお面は又吉さんの体験談だったりするのでしょうか?

ラストシーンの解釈・感想

二人が「台本」を通して、初めて本音をぶつけ合うラストシーン。

その後の二人の関係は読者に委ねる形となっていました。

・永田と沙希はもう二度と会うことはないのか?
・それとも、時間をかけてもう一度関係を深めていくのか?

皆さんはどう感じましたか?

 

私は、物語の終盤が近づくに連れて、もう元通りにはならないよなーと思いながら読んでいました。

なぜなら、物語を通して互いに好きだけでは生きていけないという現実がバシバシ伝わってくるから。

永田は沙希の事が好きでも、東京を離れてまで一緒に人生を過ごすという選択肢は無い。
それは沙紀も同じで、東京に戻るつもりはない。

 

好きな人と一緒に生きる人が別だという事実。
恋愛をした方なら一度は経験することなのではないでしょうか。

もう二度と戻ることのない2人と知りながら読むと、永田が語った理想の姿は儚くもスゴく尊いものに感じられると思います。

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ラ・ラ・ランドのラストに近いと思いました!

キスさえ描かれない違和感について

本作では、永田と沙希は恋人同士にも関わらず、身体的な繋がりを描いたシーンはほとんど登場しません。

7年間という月日の中で、描かれるのは手を繋いだ描写のみ。キスすら描かれていないです。

明らかに意図的に性描写を排除したこの演出にはどういう意味があるのか。

それは、2人の恋人同士という関係が、身体ではなく心の繋がりで生じている事を強調したかったからではないでしょうか。

象徴的なのが、沙希が永田に黙って小峰の演劇を見に行く場面。

ただ演劇を見に行っただけの沙希に対して、永田は激怒してしまいます。

自分をいつも認めてくれる沙希。
そんな彼女が小峰の才能に気づいてしまったら自分から離れてしまうのではと永田は感じたのではないでしょうか。

精神的な面で、沙希を誰にも取られたくない。

そんな永田の考え方の蓄積が沙希を追い詰めてしまったのだと思います。

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店長との浮気を責めなかったのも、うなずけます。

映画「劇場」との相違点

実は、映画化もされている本作。
ラストの描写が小説とは異なっています。

小説とは違い、「別れる」という答えを明確に描写しているのですが、その演出がスゴい。

さすが、行定勲監督。
小説を読んでいた私でも思わず泣いてしまいました!

他にも、永田の行動など細かいところで小説とは異なって描かれています。

気になった方はぜひ、実際に見て確認してみてください!

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沙希役の松岡茉優さん、ハマり役でした

又吉さんの実体験、「劇場」読後のおすすめ作

又吉さんが東京で過ごした日々を綴ったエッセイ集「東京百景」

この本の中には、「劇場」と重なる場面がいくつか登場します。

本作のリアルで切ない描写は又吉さんが体験してきた事なんだと分かると、また一味違った楽しみ方が出来ると思います。

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この場面、実体験だったの!?となるはず

ドブの底を這うような日々を送っていた

こんなキャッチコピーで綴られる又吉さんの日々は、どこか面白くちょっぴり切ないです。

「劇場」がつまらなかった方というでも、一度読んでほしい!
「劇場」の見え方が変わると思います!

小説「劇場」のまとめ

恋愛・夢・挫折

誰もが一度は経験する、どうしょうもない痛みを描いた本作。

読者を選びますが、刺さった方には忘れられない作品になるのではないでしょうか。

 

永田が最後の最後に呟いた本音

一番会いたい人に会いにいく

これは、人生における究極の答えなのではないかと思いました。

   

実は、ロックバンドのyonigeが本作「劇場」をモチーフにした曲を発表しています。

永田視点で沙希への思いを歌った曲で、永田の願望にも似た決意が綴られています。
凄くいい曲なので、一度聞いてみてください!

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